税理士は経営者にとって、最も身近な専門家として、税務だけでなく、経営相談、創業支援、資金調達、事業承継など仕事は多岐に渡る。とかく固いイメージの業界にあって菅野の経歴は少々ユニークだ。
公認会計士事務所に5年程勤務した後に、東南アジアやオセアニアに2年程生活し、そこに住む人々と交流し、海外の文化や物の考え方などに触れ、仕事だけの生活を一旦リセットした。帰国後はコンサルティングファームで税務会計のみならず企業買収、組織再編などを担当。その後、クライアントに請われ最高財務責任者として、企業経営に携わる事となる。同社の取締役退任後は、「これまでの知識と経験と人脈の全てを、自分のクライアントだけの為に役立てる」と独立を宣言し、税理士法人みなとパートナーズの前身となる税理士事務所をスタートさせた。
“他利に徹する事が自己の利益になる”が菅野の基本行動理念である。他人のために必死に汗をかく事が自分のためになると信じている。「逆の立場だったら嬉しいし、恩や義理を感じて、お返しをしたくなりません?」と菅野は屈託ない笑顔を見せる。ベンチャー企業にいた当時は、売上や人員を拡大させて企業を大きくする事に主眼を置いて走っていた「当時を振り返るとお客様視点が足りなかった」と反省の弁を口にする。その経験を糧に、自身が独立する際には、知識と経験と人脈の全てをお客様の為に惜しみなく投入すると決意した。税理士法人みなとパートナーズの事業理念は『お客様の繁栄を通じ、我々も成長し続ける』である。お客様の為に尽力し、お客様が成長することで、税理士法人も繁栄することを目指している。
税理士に対して職業柄「先生」と呼ぶ人も多い。菅野はこの呼称に違和感を覚える「経営者の方に先生って呼ばれると、違和感を感じるんですよ だって社長もその業界のプロ、その世界でメシを食べてる専門家じゃないですか?」サービスを提供して、お金を頂く、至極当たり前の事が「先生」と呼ばれ続けるとおかしくなる気がすると言う。菅野は専門家の前に一ビジネスマン、サービスマンとして凡事徹底を心がける、挨拶、清掃、時間を守る、身だしなみ、スピード対応。当たり前の事を当たり前にする、とても簡単な事だが、徹底するとなると事は簡単ではない。
「過去の数字は大事ですが、それをもとに未来を語るのが役目だと思っています」と菅野は言う。経営者はその業界で長年の経験を備えたプロフェッショナルだ、売上をみれば肌感で儲かっているか、そうでないかは分かるもの、その感覚を理解する菅野は、過去の数字の説明よりも、今後の展望や改正動向なども踏まえた未来予想・対策に時間を割く。
現在の状況と、将来像を示すことで、経営者と問題点などを共有し、対策を講じる事で、一体となって企業経営に挑む姿勢が経営者の共感を生んでいる。
また、菅野の営業スタイルはお客様の話を丁寧に聞き、問題点の把握に力点を置いている。「お客様にたくさん話をして頂く事で、自己解決したり、問題点を明確にしてくれるのでアドバイスが楽になるんですよ」と菅野はおどけるが、アドバイスを的確にする原点だと言える、その徹底的なインプット力はアドバイスの重さに比例する。
士(サムライ)業は一匹オオカミと言われる。他から干渉されるのを嫌い、自己の資格と能力だけで生きて行くからだ。菅野は言う「確かに士業には一匹オオカミ的な人が多いし、個性的な人間が多いですよ、それに変わってる人も多いかな?(笑)でも、目指すのは統率の取れた一匹オオカミ集団 得意分野を持った専門家集団です。」個を最大限活かしつつ、グループとしても強い組織、みなとパートナーズグループは、これからも個性的で多才なメンバーが集まり、顧客メリットを最大化させて行くであろう。

書籍紹介
「成功するクリニック経営 10の法則」
著者 菅野健太郎 出版社TAC出版
https://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/005376/